#数学夏祭り 問1. (8/31出題)
本日2020年8月31日から2週間の間,数学夏祭りというイベントが開催されています.平日に毎日一問ずつ問題がTwitter上で出題され,解答,拡散,解説といった方法で気軽に参加できます.詳しくは公式サイト(https://mathmatsuri.org)を見てください.
この記事では問1の問題の解説を行います.自分で解きたい方は,その後で見ていただけると良いかと思います.
問題.
\dfrac{1}{p} + \dfrac{1}{q} = \dfrac{r}{79}\quad(p \leq q, r<79)
\end{align*}をみたす正整数 の組をすべて求め, の小さい順に並べたとき,前から 3 番目の と後ろから 5 番目の を掛けた数 () を答えよ.
難易度:★★★★☆☆☆☆☆☆
この問題は同じような問題についての記事を以前にも書いたので,そちらも良ければ見てください.
ー>①:方程式 1/a+1/b=p/10
②:Project Euler 157. Solving the Diophantine align 1/a+1/b=p/10^n
解説
まず,右辺の分子が が具体的な整数の場合を考えてみましょう.例えば,のとき,
\begin{align*}
\dfrac{1}{p} + \dfrac{1}{q} = \dfrac{1}{79}\quad (p\leq q)
\end{align*}
よくある解法を考えます.
より なので,
\begin{align*}
\frac{1}{79} &= \frac{1}{p} + \frac{1}{q}\\
&\leq \frac{1}{p} + \frac{1}{p}\\
&= \frac{2}{p}
\end{align*}
となり, の取りうる範囲が とわかります.
さて, は なのですべての場合を調べて…としていると候補が多すぎてとても答えにたどり着けません(しかも, が の場合もあります. コンピュータに頼るなら別ですが…).
というわけで,別の方法を考えます.
まず,両辺に を掛けて分母を払います.
\begin{align*}
79q + 79p = pqr\quad (p\leq q, r<79)
\end{align*}
整数の問題でよく行う方法として,(式)×(式)=(整数)という,左辺は因数分解された形,右辺は整数,の形に変形して解を絞っていく方法があります.そこで,上の式の両辺に を掛けて,次のような変形をしていきます.
を掛けたことと,両辺に を足したのは因数分解するためです.
このように変形すると, は両方とも整数なので,解が絞れていけそうです.
問題の条件から,で,79は素数なので,の組は以下の2通りしかありません.
(i)
(ii)
(i) のとき,
で, は と の公約数,すなわちの約数で,であることに注意すると,これを満たす の組は以下になります.
\begin{align*}
(p, q, r) &= (2, 2\times79, 40), (4, 4\times79, 20), (5, 5\times79, 16), (8, 8\times79, 10)\\
&\quad (10, 10\times79, 8), (16, 16\times79, 5), (20, 20\times79, 4), (40, 40\times 79, 2)\\
&\quad (80, 80\times79, 1)
\end{align*}
(ii) のときも同様に調べます.
で, はの約数になり,であることに注意すると,これを満たす の組は以下になります.
\begin{align*}
(p, q, r) &= (79, 79, 2), (158, 158, 1)
\end{align*}
これですべての解がでたので,が小さい順に並べると,
\begin{align*}
(p, q, r) &= (2, 2\times79, 40), (4, 4\times79, 20), (5, 5\times79, 16), (8, 8\times79, 10)\\
&\quad (10, 10\times79, 8), (16, 16\times79, 5), (20, 20\times79, 4), (40, 40\times 79, 2)\\
&\quad (79, 79, 2), (80, 80\times79, 1), (158, 158, 1)
\end{align*}
前から3番目の と後ろから5番目の の積は, となります.