いろいろな証明の方法
数学の証明にはいろいろなパターンがありますが, ここでは証明でよく使う代表的な証明方法をいくつか挙げて説明します.
代表的な証明方法
代表的な証明方法として, 以下の 6 つを説明します.3 の無限降下法は高校で学習しませんが, 考え方を知っておくとよいでしょう.
以下の説明の中で, などの大文字はある命題を表していて, は の否定, つまり ではない, ということを表すものとします.
1. 対偶法
を証明するときに, その対偶である を証明する方法.
例. )
問. が奇数のとき も奇数であることを示せ.
解答. 「 が奇数⇒ が奇数」の対偶は「 が偶数⇒ が偶数」なので, これを示せばよい.
が偶数より (:自然数)と書け,
より
は偶数となる.
2. 背理法
を証明するときに, かつ を仮定して矛盾を導く方法.
但し, 結論の否定を仮定してから矛盾を導くまでの間に出てくる式や命題は, 実際には正しくない から導かれるため必ずしも正しいとは限らないことに注意してください.
有名な例を下にあげておきます.
例.)
問. が無理数であることを証明せよ.
解答. が有理数であると仮定すると, (, は互いに素な自然数)と書くことができる.
両辺を2乗して
左辺は偶数なので右辺の も偶数, つまり は偶数となり,
( は自然数)
と書け, より
右辺が偶数なので左辺も偶数で は偶数となる.
よって, が互いに素であることに矛盾するので, は無理数.
3. 無限降下法
例を挙げて説明します.を満たす自然数()の組が存在しないことを示すとき,
を満たす自然数の組が存在することを仮定し,
かつ
または または
を満たす自然数()の組が存在することを示します.
すると, 同じ変形をくり返して元の式を満たす自然数を無限に小さくとれることになります.
(つまり, から を導いたように から新たな を導くことができ, 同じことを何回でもできるので).
自然数は 1 以上なので無限に小さくとることはできず, 矛盾することになります.
が無理数であることを無限降下法で証明してみます.
(ここで と が互いに素である必要はないことに注意).
両辺 2 乗して を掛ければ
となり, が偶数となるので ( は自然数).
代入して両辺 2 で割ると
となり, が偶数となるので ( は自然数)
すると, はじめの式に代入して,
となり, も考慮すれば, 同じ計算をくり返すと を分数で表すときは分母, 分子を無限に小さくできてしまう. しかし, 自然数は 1 以上なので無限に小さくできないはずであって, 矛盾する.
よって は無理数である.
続きは次の記事に書きます
残りの証明方法 4~6 は次の記事に書きます.また, 上で紹介した証明方法を利用する問題の例についても書いて後でリンクを貼っておきます.