ペル方程式とその解法
今日はペル方程式というものを紹介します.1 次方程式や 2 次方程式では変数 や
は実数値をとりました. また, 高校で学習する不定方程式(
を満たす整数解を求める問題など)では, 変数
が整数値をとりました. 今回紹介するペル方程式は自然数解を求める, 次のような問題です.
但し, は自然数の定数とする.
このままではどこから手をつけてよいか分かりませんが, 実は次のような面白い性質があり, それを利用すれば簡単に解くことができます.
ペル方程式の性質 :
例として, 方程式 の解を求めてみましょう.
まず, の値が最小である解を見つけます.
とすると
となり自然数でないので不適です.
とすると
となり, このような自然数
は存在しません.
とすると
となり, 解
が見つかりました.
では, 上で紹介した性質を使って他の解をいくつか求めてみます.
より,
より,
これらが方程式の解になっているかを確かめると,
となるので, 確かに方程式を満たしています.
次に, 一般解 を求めてみます.
が成り立つとき,
が成り立つという性質(これは数学的帰納法で示すことができます) を用いて, これらの式を右辺の
について解けば
と書くことができます. や
は自然数なのに, それを表す右辺の式がルートを含んでいるので不思議な感じですね.
上の例の場合を当てはめると,
となります.
上の性質の証明はここでは(長くなるので)詳しくはしませんが, 参考までに, 次のような流れで示すことができます. (---> 詳しい証明はこちら(pdfファイルです)).
(1) がともに解であるとき, 次で定める
及び,
も方程式の解となることを示す.
(2) がすべての解のうち
の値が最小のもの
⇔ がすべての解のうち
の値を最小とするもの
を示す.
(3) の値を最小とする解を
とすると, 任意の解
について
となる
が存在するが, 各辺を
で割ることで,
となる. 真ん中の項を有利化したときに になるとおくと,
の解の最小性の仮定から
は自然数解ではなく
と求まる.