問題.
(1) を正の整数, を 3 以上の素数とするとき, を求めよ.
(2) を求めよ.
(3) 2016 の正の約数 で, となるものをすべて求めよ.
正の約数の和に関する問題です.
解答例.
(1).
の約数をすべて書き出すと,\begin{align*}
1, 2, 2^2, \ldots, 2^k, p, 2p, 2^2p, \ldots, 2^kp
\end{align*}
となるので, 和を求めると,
\begin{align*}
s(2^kp) &= 1+2+2^2+\cdots+2^k\\
&\quad + p+2p+2^2p+\cdots+2^kp\\
&= (1+2+2^2+\cdots+2^k)(1+p)\\
&= (2^{k+1}-1)(p+1)
\end{align*}
となります.
(2).
2016 を素因数分解すると,\begin{align*}
2016 = 2^5\times 3^2\times 7
\end{align*}
なので,
\begin{align*}
s(2016) &= (1+2+2^2+\cdots+2^5)(1+3+3^2)(1+7)\\
&= 63\times 13\times 8\\
&= 6552
\end{align*}
となります.
(3).
2016 の約数は\begin{align*}
n = 2^a\times 3^b\times 7^c
\end{align*}
()
と書けます.
このとき, の正の約数の和は
\begin{align}
s(n) = (1+2+\cdots+2^a)(1+\cdots+3^b)(1+\cdots+7^c)
\end{align}
となります.
ここで,
\begin{align*}
1+2+\cdots+2^a = 2^{a+1}-1
\end{align*}
は奇数なので,
式 (1) が2016になるには, 残りの部分 () が の倍数になる必要があります.
のとき の値はそれぞれ
\begin{align*}
1, \,1+3 = 4, \, 1+3+9 = 13
\end{align*}
また, のとき の値はそれぞれ
\begin{align*}
1, \, 1+7 = 8
\end{align*}
になります.
すると,
が の倍数になる組合せは, のみであることが分かります.
このとき,
\begin{align*}
s(n) &= (2^{a+1}-1)\cdot 4\cdot 8\\
&= 32(2^{a+1}-1)
\end{align*}
で, これが と一致するのは のときです.
したがって, となる 2016 の約数 は,
\begin{align*}
n &= 2^5\times 3\times 7\\
&= 672
\end{align*}
解説.
正の約数の和について
自然数 が\begin{align*}
n = p_1^{q_1}p_2^{q_2}\cdots p_N^{q_N}
\end{align*}
その正の約数の和 は
\begin{align*}
s(n) &= (1+p_1+\cdots+p_1^{q_1})(1+p_2+\cdots+p_2^{q_2})\\
&\quad \cdots(1+p_N+\cdots+p_N^{q_N})
\end{align*}
で求まります.
(1)は具体的な数値の計算ではないので, 一応正の約数を書き出して足しましたが, (2) ではこの公式を当てはめています.
2016 は完全数のなりそこね?
(おそらく) この問題の背景にあるのは, 完全数です.完全数というのは, 正の約数の和がその数自身のちょうど2倍になる整数のことをいいます.
たとえば, 6, 28, 496 などが挙げられますが, これらはすべて
\begin{align*}
P_n = 2^{n-1}(2^n-1)
\end{align*}
の形をしています (6, 28, 496 ではそれぞれ ).
一方, は問題の(2) からわかるように, 完全数ではありません.
これは, の部分が素数になっていない () からなのです.
の部分が素数であれば完全数になることは, 上の問題の(1)から簡単に確かめられます.
(詳しくは「2016と28の共通点」を見てください. )