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三角形の存在条件


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三角形の存在条件

三角形の存在条件とは

三角形の存在条件とは, 3つの数  a, b, c が与えられたときに, 3辺の長さがそれぞれ  a, b, c であるような三角形が存在するための条件です.

 

定理. 3辺の長さがそれぞれ  a, b, c > 0 である三角形が存在するための必要十分条件は,

\begin{align}
\left| b-c \right| < a < b+c
\end{align}

が成り立つことである.

 

もちろん,  a, b, c を入れ替えた次の2つの不等式も等価な条件になります.

 

\begin{align*}
\left|c-a\right| &< b < c+a\\
\left|a-b\right| &< c < a+b
\end{align*}
 

特に,  a > b > c > 0 である場合は, 左側の不等式は明らかに成り立つので,

\begin{align*}
a < b+c
\end{align*}

(短い2辺の和が残りの辺より長い)

のみ確認すればいいです.

 

例.

1.  3 + 4 > 6  であるから, 3辺の長さが  3, 4, 6 である三角形は存在する.

 

2. 3辺の長さが  a^2-a, 2a, a-1 の三角形が存在するための条件を求める.

まず,  a^2-a, 2a, a-1 がすべて正でないといけないので,  a > 1.

存在条件を使って,

\begin{align}
\left|(a ^ 2-a) - (a-1)\right| &<   2a < (a ^ 2-a) + (a-1)\\
a ^ 2-2a+1=\left|a ^ 2-2a+1\right| &<  2a < a ^ 2-1
\end{align}

 a ^ 2-2a+1=(a-1) ^ 2\geqq 0 なので, 絶対値を外しました.

あとは, この不等式を解くと,

左側から,  2-\sqrt{3} < a < 2+\sqrt{3}

右側から,  a < 1-\sqrt{2}, 1+\sqrt{2} < a

まとめると,  1+\sqrt{2} < a < 2+\sqrt{3} のとき三角形は存在します.

 

不等式を解くときに絶対値記号があるとややこしくなるので, 上のように絶対値を簡単に外せるように意識して定理の  a, b, c にどの辺を当てはめるかを選ぶといいです.