問題.
たとえば, である.
(1) を 0 以上の整数とする. は で割り切れるが, では割り切れないことを示せ.
(2) が 27 で割り切れることが, が 27 で割り切れるための必要十分条件であることを示せ.
方針.
(1) については 1 が 個並んだ数で, は 1 が 個並んだ数なので, が 3 個並んだ数とみなすこともできます. このことに気がつけば, についての帰納法で証明できそうであると分かります.
(2) について
こちらは (1) と比べて難しいですが, まず最初に が 9 で割り切れることが, が 9 で割り切れるための必要十分条件であることをいいます. それを利用して証明していきます.
解答例.
(1) 帰納法を利用します.[1] のとき
で, これは で割り切れますが, では割り切れません.
よって, のときは成立.
[2] のとき成り立っていると仮定します.
つまり, は では割り切れるが, では割り切れないと仮定します.
すると, , (但し は 3 で割り切れない自然数) と書けます.
このとき,
ここで, について,
一般に は自然数としたとき は 9 で割ると 1 余ります.
(からも分かると思います).
すると, を 9 で割ると余りが になります.
9 で割って余りが 3 なので, 3 では割り切れるが, 9 では割り切れない, ともいえます.
よって, () の右辺は 3 で 回割り切れるが 回は割り切れないことがわかります.
つまり, のときも成立です.
以上[1], [2] より すべての非負整数 について, は で割り切れるが, では割り切れないことが示されました.
(2) まず, が 9 で割り切れることが, が 9 で割り切れるための必要十分条件であることを示します.
\begin{align*}
\fbox{$n$} &= \overbrace{111\cdots111}^{n個}\\
&= 10^{n-1}+10^{n-2}+\cdots+10+1\\
&\equiv 1^{n-1}+1^{n-2}+\cdots+1+1\\
&\equiv n \pmod{9}
\end{align*}
(合同式を使いましたが, ここでは 9 で割った余りが等しいことを表す記号だと思ってください. 合同式について, 詳しくはこちら).
すると, と は 9 で割った余りが一致するので, が 9 で割り切れることが, が 9 で割り切れるための必要十分条件であることが言えました.
今わかっていることは
ここから, が 27 で割り切れる場合を考えていきます.
が 9 で割り切れるとき, , ( は自然数) とおくと,
\begin{align*}
\frac{\fbox{$n$}}{9} &= \frac{10^{9b}-1}{9\cdot 9}\\
&= \frac{10^9-1}{9\cdot 9}\left(10^{9(b-1)}+10^{9(b-2)}+\cdots+10^9+1\right)
\end{align*}
となり, (1) より は 3 で割り切れない自然数であるから,
\begin{align*}
[\ast_1] &\Leftrightarrow n\equiv0\pmod{9}\,かつ\, 10^{9(b-1)}+10^{9(b-2)}+\cdots+10^9+1\equiv0\pmod{3}\\
&\Leftrightarrow n\equiv0\pmod{9}\,かつ\, b\equiv0\pmod{3}\\
&\Leftrightarrow n\equiv0\pmod{9}\,かつ\, \frac{n}{9}\equiv0\pmod{3}\\
&\Leftrightarrow n\equiv0\pmod{27}
\end{align*}
よって, が 27 で割り切れることと が 27 で割り切れることは同値であることが示せました.
追記.
問題にはなっていませんが, 今回 (2) の証明で用いた方法を繰り返すことで, 次の命題を示すことができます.