漸化式とは, 数列を帰納的に定義する式です. つまり, 第 項を第 1 項~第 項と を用いて表す方法です.
例. 初項, 公差の等差数列
このような漸化式から数列の一般項を求める問題は大学入試などでよく問われます.
漸化式を解くには, 漸化式の形に応じてさまざまな手順があり, 漸化式を変形して等差数列や等比数列のような分かりやすい形に帰着させます.
今回は, そのようなパターンから外れた漸化式の例を紹介します.
例1. (2003, 京大)
問. 正の数からなる数列が, 次の条件[A], [B]を満たすとき, の値を求めよ.
[A]
[B]
この問題の前半部分(一般項を求める部分)を説明します.
とりあえず, [B]の条件を変形します.
移項して, 整理すると,
簡単な漸化式が出てきました.
ここで,
から帰納的にを求めても良いのですが, もっとシンプルな方法を紹介します.
式(1)のままでは左辺と右辺は似た形ではありますが上手く解けません. そこで, 両辺にをかけます. (ここがポイント!)
すると,
となり, 左辺のをすべてにおきかえたものが右辺になっています.
を掛けるだけでとても簡単な漸化式に変わりました. 後は, この式から
より, と求まります.
同様の方法が使える問題をもう一つだけ簡単に紹介.
例2. (1999, 中央大)
問. 等式 , を満たす数列の一般項を求めよ.
与えられた式から,
なので,
これを移項, 整理すると,
ここで, "両辺に"を掛けると,
となり, 左辺と右辺を同じ形にできました.
あとは京大の問題と同様に,
より
となります.