この定理はおそらく平面図形に関する定理の中で, おそらくもっとも有名な定理です.
直角三角形において, 直角を挟む2辺の長さを ,
残りの辺(斜辺)の長さを とするとき, 次の式が成り立つ.
\begin{align*}
a^2+b^2=c^2
\end{align*}
斜辺の2乗は他の辺の2乗の和, と覚えやすいと思います.
有名な定理なので, 証明は100通り以上知られています. ここでは, その中でも分かりやすい証明を紹介します.
証明.
下図のように直角三角形4つを並べて, 大きな正方形をつくります.
全体の面積 を2通りに考えます.
まず, 正方形の一辺は なので, その面積は
\begin{align*}
S = (a+b)^2
\end{align*}
一方, 真ん中の小さい四角形は正方形で, 一辺が , 周囲にある直角三角形の面積と足して,
\begin{align*}
S &= c^2 + 4\times \dfrac{1}{2}ab\\
&= c^2+2ab
\end{align*}
よって,
\begin{align*}
S = (a+b)^2 = c^2+2ab
\end{align*}
より,
\begin{align*}
c^2 &= (a+b)^2 - 2ab\\
&= a^2+b^2
\end{align*}
このように簡単に証明できました.
また, 下図のように, 一辺が の正方形の中に直角三角形を4つ並べた図を考えると,
同様に,
\begin{align*}
c^2 &= (b-a)^2 + 4\times\dfrac{1}{2}ab\\
&= a^2+b^2
\end{align*}
と証明できます.