数学の力

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平方数になる条件(自作問題30)


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問題.

今回は,自作問題の30番の解説です.
問題.
 n(n+1)(n+2)(n+3)+k がすべての自然数  n に対して平方数となるような自然数  k を求めよ.


この手の問題は方針を考えるために, n に具体的な値を代入して調べてみましょう.

 

解答例,解説

f(n)=n(n+1)(n+2)(n+3)+k

とおいて, f(1), f(2), \ldots を調べてみます.

\begin{align*}
f(1) &= 1\cdot 2\cdot 3\cdot 4+k\\ &= 24+k\\
f(2) &= 2\cdot 3\cdot 4\cdot 5+k\\ &= 120+k\\
f(3) &= 3\cdot 4\cdot 5\cdot 6+k\\ &= 360+k\\
\end{align*}

すると, k=1 とすると全て平方数になりそうだということが見えてきます.

( 25=5^2, 121=11^2, 361=19^2 です. 19^2 は覚えている必要はないですが, 11^2=121 は覚えておきましょう)

そこで, k=1 のときにすべての  n について平方数になることを証明していきます.

 k=1 とすると,

\begin{align*}
f(n) &= n(n+1)(n+2)(n+3)+k\\
&= \{n(n+3)\}\{(n+1)(n+2)\}+k\\
&= (n^2+3n)(n^2+3n+2)+k\\
&= (n^2+3n)^2+2(n^2+3n)+k\\
&= (n^2+3n+1)^2
\end{align*}

 n自然数であれば  n^2+3n+1自然数なので, f(n) は平方数となります.

答えが k=1だけであることについて

さて, k=1が条件を満たしていることは分かりましたが,他に答えがないかを確認しておく必要があります.

 f(1)=24+k, f(2)=120+k がともに平方数なので, a, b自然数として,

\begin{align*}
24+k&= a^2\tag{1}\\
120+k &= b^2\tag{2}
\end{align*}
とおきます.

 (2) から  (1) を引くと,96=b^2-a^2=(b+a)(b-a)となります. b+a > b-a,  b+a, b-aは偶奇が一致する(両方とも偶数か,両方とも奇数)ことに注意すると,これを満たす  (b+a, b-a) の組は

\begin{align*}
(b+a, b-a) = (48, 2), (24,4), (16,6), (12,8)
\end{align*}

の4通りしかなく,それぞれについて  (a, b)を求めると

\begin{align*}
(a, b) = (23, 25), (10, 14), (5, 11), (2, 10)
\end{align*}

となります. (1)式に代入して  k を求めると,それぞれ  k=505, 76, 1, -20 です. k自然数なので  k=-20 は不適なので, k=505, 76, 1 が候補に残ります.

後は, n=3 の場合に平方数になるかを確認しましょう.

\begin{align*}
360+505 &= 865\\
&= 5\times 173\\
360+76 &= 436\\
&= 2^2\times109\\
360 + 1 &= 361\\
&= 19^2
\end{align*}
なので, k=505, 76 では  n=3 のときに平方数になりません.

したがって,すべての  n について  n(n+1)(n+2)(n+3)+k が平方数となるのは  k=1 のときのみです.