数学の力

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自作問題27. (中間値の定理)


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問題.

自作問題の27番, 中間値の定理を利用する問題です.

 

問題. 

周期  \omega の連続な周期関数  f(x) について, 以下の条件 (\ast)を満たす実数  p が存在することを示せ.

\begin{align*}
(\ast)\left\{\begin{array}{ll}
0\leqq p < \frac{\omega}{2} \\
f(p) = f(p+\frac{\omega}{2})
\end{array} \right.
\end{align*}

 f(x)が周期  \omega の周期関数であるとは, 任意の xについて  f(x)=f(x+\omega) が成り立つことである.

 

中間値の定理を使います.

 

中間値の定理

関数  f(x) が閉区間  [a, b] で連続で,  f(a) f(b) の間にある数  k について,

\begin{align*}
f(c) = k\quad (a < c < b)
\end{align*}

となる  c が存在する.





解答例.

\begin{align*}
g(x)=f(x+\frac{\omega}{2})-f(x)
\end{align*}

とおくと,

\begin{align*}
g(x+\frac{\omega}{2})&= f(x+\omega)-f(x+\frac{\omega}{2})\nonumber\\
&= f(x)-f(x+\frac{\omega}{2})\nonumber\\
&= -g(x)\tag{1}
\end{align*}

が成り立つ.

 

 x=0 のとき,  g(0)=0 であれば,  p=0 が条件( \ast)を満たす.

 

 g(0)\neq 0 であれば, (1)式より  g(\frac{\omega}{2})=-g(0) であるから,  g(0) g(\frac{\omega}{2}) は符号(正or負)が異なる. よって, 中間値の定理により,  0 < p < \frac{\omega}{2} g(p)=0 を満たす pが存在する.

 

 

追記.

この問題には, 元ネタとなる次のような問題があります.

 

Q. 地球の赤道上の温度の分布が連続であるとします. このとき, 赤道上の地点で, 地球のちょうど裏側と同じ温度の地点が存在することを示せ.
(この問題の出典が分かる方がいたら教えてください. )

 

赤道上の温度の分布を  f(x) とおくと今回の問題になります.