問題.
問1. 空間の3点を通る平面に関して点と対称な点の座標を求めよ.ただし,点が平面に関してと対称であるとは,線分の中点が平面上にあり,直線がから平面に下ろした垂線となることである.
問2. 赤玉,白玉,青玉,黄玉が1個ずつ入った袋がある.よくかきまぜた後に袋から玉を1個取り出し,その玉の色を記録してから袋に戻す.この試行を繰り返すとき, 回目の試行で初めて赤玉が取り出されて4種類全ての色が記録済みとなる確率を求めよ.ただし, は4以上の整数とする.
本記事では問2.の解説をします.問1についてはこちらの記事で解説しています(京大2021年度理系第1問-問1(ベクトル)).
4色の玉が入った袋から玉を取り出して,回目で赤が出てすべての色が少なくとも1回以上出た状態になる確率です.ちなみに,全ての色が記録済みになるまでに必要な試行回数の期待値も求めてみると面白いです(本記事の最後で説明します).
解説.
まず,1回の試行で取り出される玉は4通りあるので,回試行を行うと全部で通りの玉の出方があります.次に,問題の条件に合う玉の出方を考えます.「回目までの試行で赤は一度も出ず,白,青,黄が少なくとも1回ずつ出る」のが何通りあるかを考えます.
赤が1度も出ないのは通り.
そのうち,白,青,黄のうち1色が回出るとき,各色について1通りなので通り.
白,青,黄のうち2色しか出ず,1色が1度も出ないとき,出る色の組み合わせが通りで,各色の組み合わせに対して通り(*)なので,通り.
(*)について:例えば白と青のとき,2色のいずれかで回なのでですが,このうち2通りはどちらか1色のみなので,2通り引いておく必要があります.
よって,問題の条件に合う玉の取り出し方は
\begin{align*}
3^{n-1} - 3 - 3(2^{n-1}-2) &= 3^{n-1}-3\cdot2^{n-1}+3
\end{align*}
通り.したがって,求める確率は
\begin{align*}
\frac{3^{n-1}-3\cdot2^{n-1}+3}{4^n}.
\end{align*}
おまけ(期待値の話)
今回の問題設定で(最後に出る色を赤に固定せず何色でもいいことにして),4色全ての玉が少なくとも1回取り出されるまでの試行回数の期待値を考えてみます.回目の試行で4色目の玉が初めて取り出される確率は,その玉の色が4通りなので
\begin{align*}
P_n &= 4\times \frac{3^{n-1}-3\cdot2^{n-1}+3}{4^n}\\
&= \left(\frac{3}{4}\right)^{n-1}-3\cdot\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}+3\cdot\left(\frac{1}{4}\right)^{n-1}
\end{align*}
期待値をとすると,
\begin{align*}
E &= \sum_{n=4}^\infty n\cdot P_n
\end{align*}
ですが,定数に対して
\begin{align*}
f(p) &= \sum_{n=4}^\infty n\cdot p^{n-1}
\end{align*}
とおくと
\begin{align*}
E &= f\left(\frac{3}{4}\right) - 3f\left(\frac{1}{2}\right)+3f\left(\frac{1}{4}\right)
\end{align*}
と書けます.についてはを計算すれば
\begin{align*}
f(p) &= \frac{p^3(4-3p)}{(1-p)^2}
\end{align*}
となります.よって,期待値は
\begin{align*}
E &= \frac{189}{16} - 3\times\frac{5}{4} + 3\times\frac{13}{144}\\
&= \frac{25}{3}
\end{align*}
となります.つまり,大体8回位試行を繰り返せば4色とも出るということになります.
ちなみに,一般に色の場合の期待値は
\begin{align*}
N\sum_{n=1}^{N}\frac{1}{n}
\end{align*}
になることが知られています.これは今回と同様の方法で導出するのは難しいので別の方法を用いる必要があります.また気が向いたらこれについても記事を書こうと思います.