問題.
(1) を正の整数, とする. は で割り切れるが で割り切れないことを示せ.
(2) を正の偶数とする. が で割り切れるならば または であることを示せ.
(1) は典型的な数学的帰納法の問題です.
ちなみに, この問題をより一般化して,
「正の整数 に対して, とすると, は で割り切れるが で割り切れない」
ことを と の両方について帰納法を使うことで示すことができます.
(自作問題の問題31では, が で割り切れることを問うています. )
さて, (2) では (1)利用します. が 2 の累乗ではなく, 偶数となっている部分を上手く処理できるかがカギですね.
また,
の変形も覚えておきましょう.
解答例.
(1) 数学的帰納法を使います.[1] のとき
で, は で割り切れ, では割り切れない.
よって, のときは成り立つ.
[2] のとき成り立つと仮定すると,
が で割り切れ, で割り切れないので,
と書けます ( は奇数).
すると,
(指数の計算 となる部分を間違えないように注意しましょう!!)
ここで, は奇数で, より も奇数なので,
は で割り切れるが では割り切れない.
よって, のときも成り立つ.
したがって, [1], [2] より, すべての正の整数 について
は で割り切れるが, では割り切れない.
(2) (1)で証明したことを利用していきます.
が で割り切れて で割り切れないような を選んで,
とおきます. ( は奇数)
が 2 で何回割り切れるかを調べます.
とおいて,
(2 行目から 3 行目の変形がカギです. )
ここで, 右辺の は (1) の結果から, で割り切れ, では割り切れません.
また, は各項は 3 の累乗なので奇数で, 個(奇数個) 足したものなので, 奇数, つまり 2 で割り切れません.
よって, は で割り切れ, で割り切れないことが分かりました.
が で割り切れるためには,
つまり,
が必要十分条件になっています.
のときは, となることが帰納法で示されるので, に対して上の不等式は成り立ちません.
のとき
, なので, 上の不等式を満たす は のみ,
のとき
, なので, 上の不等式を満たす は のみ, となります.
したがって, としては のみとなります.