数学の力

京大生が数学の定理・公式の証明や入試問題の解説をするブログ.

対角線に垂線を下ろして分割すると...


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2 次元のとき

次のような問題を考えてみます.
問題.  AB=a, BC=b である長方形  ABCD を考える.
頂点  A から対角線  BD に下ろした垂線の足を  H とする.
 BH:HC の比はどうなるか.

これは三角形の相似がわかれば簡単に求められます.

 \triangle{ABD}, \triangle{HBA}, \triangle{HAD} が互いに相似なので,
\begin{align*}
BH:HA = BA:AD = a:b = a^2:ab\\
AH:HD = BA:AD = a:b = ab:b^2
\end{align*}
であり,合わせると  BH:HD = a^2:b^2 と,長方形の辺の長さの 2 乗の比となります.


3次元にすると...

先程の問題の拡張として,次の問題を考えます.
問題.  AE=a, AD=b, AB=c である直方体  ABCD-EFGH を考える.
頂点  A から対角線  EC に下ろした垂線の足を  M,
頂点  D から対角線  EC に下ろした垂線の足を  N とする.
 EM:MN:NC の比はどうなるか.

3 次元になって少し難しく見えますが,2 次元の場合の結果を上手く利用すると簡単に求めることができます.

まず, A, E, G, C を通る平面に着目します.

すると, M A から  EC に下ろした垂線の足なので,上の結果から  EM:MC = AE^2:AC^2.
ところで,三平方の定理から  AC^2=AB^2+BC^2=b^2+c^2 であって,  EM:MC = a^2 : (b^2+c^2).

次に, D, E, F, C を通る平面に着目します.

すると, N D から  EC に下ろした垂線の足なので,再び上の結果を用いて  EN:NC = ED^2:DC^2.
ところで,三平方の定理から  ED^2 = AE^2+AD^2 = a^2+b^2 であって,  EN:NC = (a^2+b^2) : c^2.

よって,
\begin{align*}
EM : (MN+NC) &= a^2 : (b^2+c^2)\\
(EM+MN) : NC &= (a^2+b^2) : c^2
\end{align*}
から, EM:MN:NC = a^2:b^2:c^2 となります.

3 次元の場合も辺の長さの 2 乗の比となりました.

面白いと思いませんか? 4 次元以上を考えても同様のことが言えそうな気がします.
今回はここまで...