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複素数の重要な性質


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複素数の重要な性質

前回の記事-->「複素数とは何か?

今回は, 複素数平面, 複素数の絶対値, 共役な複素数などについて説明していきます.

 

複素数平面 (ガウス平面)

座標平面上の点  (a, b)複素数  z=a+bi を表すと考えるとき, この座標平面を複素数平面 (複素平面), ガウス平面といいます.

 

横軸を実軸, 縦軸を虚軸といい, 実軸上の点は実数を, 虚軸上の点は純虚数を表します.

 

共役な複素数

複素数  z=a+bi に対して, 虚部の符号をかえてできる複素数 z の共役な複素数といい,  \overline{z} で表します.

\begin{align*}
z &= a + bi\\
\overline{z} &= a-bi
\end{align*}

 

共役な複素数の性質

  1.  \overline{\overline{z}} = z
  2.  \overline{z_1\pm z_2} = \overline{z_1}\pm\overline{z_2}
  3.  \overline{z_1z_2} = \overline{z_1}\overline{z_2}
  4.  \overline{\left(\frac{z_1}{z_2}\right)} = \frac{\overline{z_1}}{\overline{z_2}}
  5. \begin{align*}\Re z &= \frac{z+\overline{z}}{2}\\ \Im z &= \frac{z-\overline{z}}{2i}\end{align*}
 

複素数の絶対値

絶対値は, 複素数平面上での原点  0 からの距離を表します.
(実数における絶対値も, 実直線での原点からの距離でしたね).

 
 
特に,  z=a+bi のとき, 複素数平面上で三平方の定理を使うと,
 |z| = \sqrt{a^2+b^2}
となります.
 

絶対値に関連する重要な公式

1.  |z| = |\overline{z}|
2.  |z_1z_2| = |z_1||z_2|
3.  \left|\dfrac{z_1}{z_2}\right| = \dfrac{|z_1|}{|z_2|}
4.  |z|^2 = z\overline{z}
特に,
 |z|=1 \Leftrightarrow \overline{z}=\frac{1}{z}
 
 
次回の記事では複素数極形式の表現などを説明します