コーシー・シュワルツ(Cauchy-Schwartz)の不等式
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等号はのときのみ.
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等号はのときのみ.
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等号はのときのみ.
但し,は実数.
和の記号を使って表すと,
例題.
問.
を満たすようにを変化させるとき,の取り得る最大値を求めよ.
このタイプの問題は普通はとおいて,この式を直線の方程式と見なすことで,円と交点を持つ状態で動かし,直線の切片の最大値を求める,ということをします.
しかし, コーシー・シュワルツの不等式を使えば簡単に解けます.
コーシー・シュワルツの不等式より,
\begin{align}
(2^2+3^2)(x^2+y^2)\geqq (2x+3y)^2
\end{align}
ところで,なので上の不等式の左辺はとなり,
\begin{align}
13\geqq(2x+3y)^2
\end{align}
よって,
\begin{align}
2x+3y \leqq \sqrt{13}
\end{align}
となり最大値はとなります.
コーシー・シュワルツの不等式の証明.
この不等式にはきれいな証明方法があるので紹介します.(この方法以外にも,帰納法でも証明できます.それは別の記事で紹介します.)
任意の実数に対して,
\begin{align}
f(t)=\sum_{k=1}^{n}(a_kt+b_k)^2\geqq 0
\end{align}
が成り立つ(実数の2乗は非負).
左辺を展開すると,
\begin{align}
\left(\sum_{k=1}^{n}a_k^2\right)t^2+2\left(\sum_{k=1}^{n}a_kb_k\right)t+\left(\sum_{k=1}^{n}b_k^2\right)\geqq 0
\end{align}
これが任意のについて成り立つので,の判別式をとするとが成り立ち,
\begin{align}
\left(\sum_{k=1}^{n}a_kb_k\right)^2-\left(\sum_{k=1}^{n}a_k^2\right)\left(\sum_{k=1}^{n}b_k^2\right)\leqq 0
\end{align}
よって,
\begin{align}
\left(\sum_{k=1}^{n} a_k^2\right)\left(\sum_{k=1}^{n} b_k^2\right)\geqq\left(\sum_{k=1}^{n} a_kb_k\right)^2
\end{align}
その他の形のコーシー・シュワルツの不等式
コーシー・シュワルツの不等式というと上で紹介したものが有名ですが,実はほかに以下のようなものがあります.