二項係数と組み合わせ問題
二項係数に関するいろいろな公式があります.これらは数式として証明できるだけでなく,組み合わせの数え上げ問題として解釈することができます.今回は,その例をいくつか紹介します.
二項係数:
\begin{align*}
{}_nC_k = \dfrac{n!}{k!(n-k)!}
\end{align*}
\begin{align*}
{}_nC_k = \dfrac{n!}{k!(n-k)!}
\end{align*}
- 個のものから 個を選ぶ選び方は 通り.
→ 1 個目の選び方が 通り,2個目の選び方が 通り,..., 個目の選び方が 通りと考えると
\begin{align*}
n\cdot(n-1)\cdot\cdots\cdot(n+1-k) = \frac{n!}{(n-k)!}.
\end{align*}
しかし,この数え方では取り出す順番によって同じ組み合わせを ずつ重複して数えているので,選び方は
\begin{align*}
\frac{n!}{(n-k)!}\times \frac{1}{k!} = \frac{n!}{k!(n-k)!}
\end{align*}
通りとなる. - (二項定理)
を展開したときの の係数は .
→ を,同類項をまとめずに展開したときに現れる項は, 個のカッコのそれぞれから または を選んでかけ合わせたものとなる.例えば, の場合,展開すると
の 8 項が現れる.
の係数は,この中で が 個, が 個含まれるものの個数となるが, 個のカッコから 個のカッコのを選んでそこからは を,残りのカッコからは を選ぶと考えることができるので, となる. - (二項係数の和)
\begin{align*}
\sum_{k=0}^n {}_nC_k = 2^n.
\end{align*}
→ は 個から 個選ぶ (つまり,どれも選ばない) は 個から 個選ぶ
︙
は 個から 個選ぶ
︙
は 個から 個すべてを選ぶこれらすべての場合の数を足し合わせると, この中からいくつかを選ぶ(1つも選ばなくてもいいし,すべてを選んでもいい) 方法の数となります.
ところが,これは見方を変えると 個のそれぞれについて選ぶか選ばないか,の 2 通りずつあるので, 通りあります.
つまり, となります.
- \begin{align*}{}_{n+1}C_{k+1} = {}_nC_k + {}_nC_{k+1}.\end{align*}
左辺は 個から 個を選ぶ選び方の個数です.
これを,場合分けして数えてみましょう.分かりやすいように, 個に と番号をつけておきます.
・まず,番号 のものを選ぶとき
番号 のものを選んで,全体では 個選ぶためには,残り () の 個の中から 個選ぶ必要があります.
つまり, 通りです.・次に,番号 のものを選ばないとき
同じように考えると,残り () の中から 個を選ぶ必要があるので, 通りです.よって, 個から 個を選ぶ方法は,これらの和と一致するので,