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相反方程式


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相反方程式

高校で学習する範囲で出てくる方程式は, 1次, 2次方程式(解の公式で必ず答えを求められる)と, 3次以上の高次方程式で, 上手く解ける形のものがあります. (実際には3次, 4次方程式には解の公式が存在しますが, 実用的ではありません. )

高校範囲で出題される3次以上の方程式には主に次の2パターンがあります.

  1. 因数定理を使って解けるもの.
  2. 相反方程式
 

相反方程式とは

相反方程式の例. 

x^4+3x^3+5x^2+3x+1=0

2x^4-4x^2+2=0

上の方程式では,  x の係数がそれぞれ(ゼロを含めて)  (1, 3, 5, 3, 1), (2, 0, -4, 0, 2)と対称的になっています. このように, 奇数項で係数が対称的な方程式を相反方程式といいます.

 

相反方程式の解き方

例.

例として, 次の方程式を解いてみましょう.

\begin{align*}
x^4-x^3-10x^2-x+1=0
\end{align*}

まず,  x=0 は解ではない(この方程式の左辺に代入すれば, 定数項の  1 が残る)ので, 与えられた方程式の両辺を  x^2 で割って,

\begin{align*}
x^2-x-10-\frac{1}{x}+\frac{1}{x^2}=0
\end{align*}

次のように整理します.

\begin{align*}
\left(x^2+\frac{1}{x^2}\right)-\left(x+\frac{1}{x}\right)-10=0
\end{align*}

 \displaystyle t=x+\frac{1}{x}とおくと,

\begin{align*}
x^2+\frac{1}{x^2} &= \left(x+\frac{1}{x}\right)^2-2\\
&= t^2-2
\end{align*}

なので, 方程式の左辺を  t の式に直すと,

\begin{align*}
\left(x^2+\frac{1}{x^2}\right)-\left(x+\frac{1}{x}\right)-10 &= (t^2-2) +-t-10\\
&= t^2-t-12\\
&= (t-4)(t+3)\\
&= 0
\end{align*}

より,  t=4, -3.

後は, この  t に対応する  x の値を  \displaystyle t=x+\frac{1}{x}, つまり  x^2-tx+1=0 から求めます.

 x=4のとき,  x^2-4x+1=0 より  x=2\pm\sqrt{3}.

 x=-3のとき,  x^2+3x+1=0 より  \displaystyle \frac{-3\pm\sqrt{5}}{2}.

従って元の相反方程式の解は  \displaystyle x=2\pm\sqrt{3}, \frac{-3\pm\sqrt{5}}{2} となります.

 

一般的には.

一般的には,  x 2n 次の相反方程式は, まず両辺を  x^n で割って, 係数の対称性を利用して整理します. その式を  \displaystyle t=x+\frac{1}{x} を用いて方程式を書き直してできる  n 次の方程式の解  t から  x を求めます. 上の例より次数が高ければ,

\begin{align*}
x^3+\frac{1}{x^3} &= \left(x+\frac{1}{x}\right)^3-3\left(x+\frac{1}{x}\right)\\
&= t^3-3t
\end{align*}

を用います. この場合は,  t の3次方程式になるので, 因数定理からその解を求めることになります. (基本的に試験などで問われる場合, きれいに解けるように数値が設定されているはずです. )

 

応用

相反方程式の応用として, 次のような問題も考えることができます.

 xの方程式

  2x^6-15x^5+28x^4+6x^3-28x^2-15x-2=0

の解を全て求めよ. 

これは相反方程式のようですが,  x の偶数乗の項が正負が一致していません. (係数が2, -15, 28, 6, -28, -15, -2となっている.)

ですが, 相反方程式同様に両辺を  x^3 で割って,  \displaystyle s=x-\frac{1}{x} とおくことで解くことができます. 試しに解いてみてください. 答えはこちらのページにあります.