特殊な形の和の計算
数列の分野でよく問われるのが, 数列の和です. 数列 が与えられているときに, 項目までの和 を求める場合や, 無限項の和 を求める問題などがありますが, ここでは次のように が表される, 特殊な形の場合を考えます.\begin{align*}
a_n = p_n-p_{n+1}
\end{align*}
但し, は一般項が で表されている数列とします.
このとき, 項目までの和は, 次のように簡単に求めることができます.
\begin{align*}
S_n &= \sum_{k=1}^n a_k\\
&= \sum_{k=1}^n (p_k-p_{k+1})\\
&= (p_1-p_2)+(p_2-p_3)+\cdots+(p_n-p_{n+1})\\
&= p_1-p_{n+1}
\end{align*}
最初と最後の項以外はプラスとマイナスで打ち消し合う形になっています. 同様に, の場合でも簡単に計算できます. 有名な例として, 以下の部分分数分解をする問題があります.
問題例.
について第 項目までの和 を求めよ.
と部分分数分解されるので, (上の例に当てはめると, とおけば となっています. )
\begin{align*}
S_n &= \left(1-\frac{1}{2}\right)+\left(\frac{1}{2}-\frac{1}{3}\right)+\cdots+\left(\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}\right)\\
&= 1 - \frac{1}{n+1}\\
&= \frac{n}{n+1}
\end{align*}
但し, どんな数列でもこのような が見つかるとは限らないということは注意してください. 以下にある練習問題のような特別な場合のみ, この計算法が有効です.
練習問題
以下の について第 項目までの和をそれぞれ求めてください.(1)
(2)
練習問題の解答
ちなみに(1)(2)は自分が高校生のとき, 試験に実際に出た問題です.(1) と分解できます. (これは部分分数分解同様, 重要ですので覚えておきましょう)
和は,
\begin{align*}
S_n &= \frac{1}{2}\left\{\left(\frac{1}{1\cdot 2}-\frac{1}{2\cdot3}\right)+\left(\frac{1}{2\cdot 3}-\frac{1}{3\cdot 4}\right)+\right.\\ &\left.\cdots+\left(\frac{1}{n(n+1)}-\frac{1}{(n+1)(n+2)}\right)\right\}\\
&= \frac{1}{2}\left\{\frac{1}{2}-\frac{1}{(n+1)(n+2)}\right\}\\
&= \frac{1}{2}\cdot\frac{(n+1)(n+2)-2}{2(n+1)(n+2)}\\
&= \frac{n(n+3)}{4(n+1)(n+2)}
\end{align*}
(2) この問題は, 単体で出た場合は展開すれば の3次式なので, 公式を当てはめて解くこともできます. ここでは, を上手く見つけます.
と書けて, とおくと
の形になっています.
\begin{align*}
S_n &= \frac{1}{4}\left\{(1\cdot2\cdot3\cdot4-0\cdot1\cdot2\cdot3)+(2\cdot3\cdot4\cdot5-1\cdot2\cdot3\cdot4)+\right.\\
& \left.\cdots+\{n(n+1)(n+2)(n+3)-(n-1)n(n+1)(n+2)\}\right\}\\
&= \frac{1}{4}n(n+1)(n+2)(n+3)
\end{align*}
の和 を求める場合,
の公式を覚えていなければ展開して計算できませんが, この方法でなら簡単に求めることができます.