数学の力

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方程式が整数解をもつ条件1(自作問題23)


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問題.

問題.

 n自然数とする.  x の方程式  x^3+n-1=n\sqrt[3]{nx-n+1} が3つの異なる整数解を持つような  n の条件を求めよ.

自作問題の23番の問題と解説です.

 

左辺は3次式, 右辺は3乗根となっていて, もし両辺を3乗して整理すると,

\begin{align*}
(x^3+n-1)^3 = n^3(nx-n+1)
\end{align*}

9次の方程式となってしまい上手く解けません.

 

そこで, 問題の方程式の特徴を見つけて解きます.

答えはこのページの少し下にあります.

 

 

 

 

 

 

 

 

解答.

与えられた方程式は  x^3=n\sqrt[3]{nx-n+1}-n+1 なので,

 y=\sqrt[3]{nx-n+1} とおくと

\begin{align}
y^3 &= nx-n+1 \tag{1}\\
x^3 &= ny-n+1 \tag{2}
\end{align}

となり,  x, y についての対称な関係式が現れます.

 

(1)から(2)を引いて

\begin{align}y^3-x^3=n(x-y)\end{align}

移項, 因数分解して

\begin{align}(y-x)(y^2+yx+x^2+n)=0\end{align}

 y^2+yx+x^2+n=\left(y+\frac{x}{2}\right)^2+\frac{3}{4}x^2+n\neq 0 なので  y=x.

 

(2)に  y=x を代入して  x について解きます.

\begin{align}x^3=nx-n+1\end{align}

\begin{align}x^3-nx+n-1=0\end{align}

\begin{align}(x-1)(x^2+x-n+1)=0\end{align}

\begin{align}\therefore x=1, \frac{1}{2}(-1\pm \sqrt{4n-3})\end{align}

 \frac{1}{2}(-1\pm\sqrt{4n-3})が整数となるとき,  \sqrt{4n-3}は奇数なので

 \sqrt{4n-3}=2m-1, m:自然数とおくと

 n=m^2-m+1

元の方程式の解は  x=1, m-1, -m となり, これらが異なる解になるには  m\neq2.

以上より,  n=m^2-m+1,  m は 2 でない自然数.

 

最後に

解答例の中の  y x の関係式(1)を

\begin{align*}
y=f(x)=\sqrt[3]{nx-n+1}
\end{align*}

とおくと, 式(2)は

\begin{align*}
x=f(y)
\end{align*}

つまり, 逆関数を用いれば,

\begin{align*}
y = f^{-1}(x)
\end{align*}

となります.

 

つまり, はじめの方程式の解  x を求めることは,  y=f(x) y=f^{-1}(x) の交点を求めることだったわけです.

 

 y=f(x) y=f^{-1}(x) のグラフは直線  y=x について対称なので, それらが  y=x 上で交わりそうだ, という発想から生まれた問題です.