問題.
今回は, 自作問題の1-(7), 2項定理の応用問題の解答, 解説です.
を展開したときの定数項を求めよ. 但し, は自然数の定数である.
この問題は一見すると多項定理を使う問題です.
多項定理 :
を展開したときの一般項は,
,
と書ける.
しかし, このページの最後に追記として載せておきますが, この方法では上手く計算できません.
今回の問題では, 式を変形して, 2項定理を使います.
2項定理 :
を展開したときの一般項は,
と書ける.
解答例.
\begin{align*}\left(x+\frac{1}{4x}-1\right)^n &= \left(\frac{4x^2+1-4x}{4x}\right)^n\\
&= \left\{\frac{(2x-1)^2}{4x}\right\}^n\\
&= \frac{(2x-1)^{2n}}{(4x)^n}
\end{align*}
なので, まずを展開したときのの係数を求めます.
を展開したときの一般項は
\begin{align*}
{}_{2n}C_k\cdot(2x)^k\cdot(-1)^{2n-k} = {}_{2n}C_k \cdot 2^k\cdot(-1)^k\cdot x^k
\end{align*}
なので, の係数は.
よって, 元の式を展開したときの定数項は
\begin{align*}
\frac{1}{4^n}\times \{{}_{2n}C_n\cdot 2^n\cdot(-1)^n\} = {}_{2n}C_n\cdot \left(-\frac{1}{2}\right)^n
\end{align*}
追記.
今回の問題をはじめに式変形せずに多項定理を使うと,展開したときの一般項が
\begin{align*}
\frac{n!}{p!q!r!}\cdot x^p\cdot \left(\frac{1}{4x}\right)^q\cdot(-1)^r = \frac{n!}{p!q!r!}\cdot \left(\frac{1}{4}\right)^q(-1)^r\cdot x^{p-q}
\end{align*}
となるので, 定数項では, つまり.
このときからであり, 上の式に代入して,
\begin{align*}
\frac{n!}{p!p!(n-2p)!}\cdot \left(\frac{1}{4}\right)^p(-1)^{n-2p}=\frac{n!}{p!p!(n-2p)!}\cdot \left(\frac{1}{4}\right)^p(-1)^{n}
\end{align*}
この形の項の和を求めればいいので, 求めるべき定数項は和の記号を使って次のように書けます.
\begin{align*}
\sum_{0\leqq 2p\leqq n} \frac{n!}{p!p!(n-2p)!}\cdot \left(\frac{1}{4}\right)^p(-1)^{n}
\end{align*}
しかし, この複雑な計算をすることは難しいです(もしかしたら方法があるかもしれませんが).
解答例のはじめの部分の変形に気付けるか, という問題でした.