数学の力

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2変数の数学的帰納法(自作問題31)


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問題.

今回は,自作問題の31番,2 変数の絡んだ数学的帰納法の問題です.

問題.
任意の非負整数  p, n について, (p+1)^{p^n} p^{n+1} で割った余りが 1 であることを示せ.

この問題はもともと,2 変数の入った問題ではなく, p の部分に具体的な数値の入った次のような問題でした.

元の問題.
任意の非負整数  n について, 8^{7^n} 7^{n+1} で割った余りが 1 であることを示せ.


この問題をなにかの問題集で見て解いているときに,7 の部分が他の自然数でも成り立つのではないか? と考えて試した結果この問題ができました.



解答例.

タイトルに 2 変数,と書いてはいますが,基本的には  n について数学的帰納法を用いることになります.

(i)  p=0 のとき
\begin{align*}
(p+1)^{p^n} &= 1^{0^n}\\
&= 1^0\\
&= 1.
\end{align*}
よって,成り立つ.

(ii)  p=1 のとき
\begin{align*}
(p+1)^{p^n} &= 2^{1^n}\\
&= 2^1\\
&= 2\\
&\equiv 1\pmod{1^{n+1}}.
\end{align*}
よって,成り立つ.

(iii)  n=0 のとき
\begin{align*}
(p+1)^{p^n} &= (p+1)^{p^0}\\
&= (p+1)^1\\
&= p+1\\
&\equiv 1 \pmod{p^{0+1}}.
\end{align*}
よって,成り立つ.

(iv)  p\geq 2, n\geq 1 のとき
ここで帰納法を使います.
 n=k で成り立つと仮定すると, (p+1)^{p^k}\equiv 1\pmod{p^{k+1}}なので, (p+1)^{p^k}-1=N\cdot p^{k+1} を満たす整数  N が存在する.

 n=k+1 のときを考えると,
\begin{align*}
(p+1)^{p^{k+1}} &= (p+1)^{{p^k}\cdot p}\\
&= \{(p+1)^{p^k}\}^p\\
&= \{N\cdot p^{k+1}\}^p\\
&= \sum_{i=0}^p {}_pC_i\,\cdot (Np^{k+1})^i\\
&= {}_pC_0\,\cdot(Np^{k+1})^0+{}_pC_1\,\cdot(Np^{k+1})+\sum_{i=2}^p {}_pC_i\,\cdot (Np^{k+1})^i\\
&= 1+Np^{k+2}+\sum_{i=2}^p {}_pC_i\,\cdot (Np^{k+1})^i\\
&= 1+p^{k+2}\{N+N^2p^k\sum_{i=2}^p {}_pC_i\,\cdot (Np^{k+1})^i-2\}\\
&\equiv 1\pmod{p^{k+2}}
\end{align*}
となり, n=k+1 のときも成立.


したがって,(iii), (iv) から  p\geq 2, n\geq 0 を満たす任意の  p, n で成立する.
よって,任意の非負整数  n, p について  (p+1)^{p^n}\equiv 1\pmod{(p^{n+1}}.